誰も利用しなくなった家屋を利用し、
熊野で収穫した小麦を使ってパンを焼き、販売したり、
熊野に移住を考えている若者たちに無料で宿を提供している。
校舎には生活の跡。
図書室だったところがこのように利用されている。
このプロジェクトをしているNPO共育学舎の代表三枝(さいぐさ)さんに
いろいろと話をきいてみた。
「地元の人たちはよそ者にはやはり厳しいですよ。
だから、はじめによそからきた若者を温かく迎えてあげられる
場所をつくりたかったのです」
ぼくも新世界の町おこしに足をつっこんでいるものだから、
町おこしについてきいてみると
「町おこし、しない方がいいですよ。
町をおこした途端に大きな資本がやってきて店を展開し、利益を吸い上げ、
利益がなくなったらもう店をたたみ他の所へいく。地元には全く還元されずに。
静かに町がなくなっていく。それもひとつのあり方なのです」
地元の人たちは何もないところから、数十年、
場所によっては数百年かけて町をつくった。
そんな人がたくさん集まって生活を営んでいるところに、
他所からやってきた人々は店を出し、利益をあげる。
利益は本社のある東京や大阪、場合によってはアメリカなどへと行ってしまい、
地元の人間のお金は吸い取られるが地元へはお金は落ちない。
やがて、町は活力を失っていく。
新世界市場も町おこしに成功するとチェーン店がたくさん入ってしまうのだろうか。
非常に考えさせられる言葉だった。