2019年7月31日水曜日

おそらく元投手

信号待ちをするおじいさん。自転車からおりて

投球練習を始める。

肩が温まっていないからか、軽く投げる。


2投目の準備をしている時に信号が変わった。
右手は確実にボールを持っている。

(中崎町 大阪)


2019年7月30日火曜日

小宇宙

喫茶店のカウンターテーブルの様子が素晴らしかった。
ぼくは彼女に見つめられたままカレーを食べることとなった。


(阿倍野 大阪)

2019年7月27日土曜日

買ったばかり

屋台で買ったベビーカステラが地面でころころ転がっていた。

(王子 阿倍野)

2019年7月22日月曜日

平泉の静かな隙

ずっと憧れていた中尊寺金色堂。受付がすでに美しい。

金色堂の写真撮影は禁止されていたけれどもこの写真は撮れたのでよしとしよう。

(平泉町 岩手)

残念光発電

立派な屋根瓦を台無しにする太陽光パネルであった。

(一関 岩手)




2019年7月20日土曜日

海のそばなのに海が見えない

4年ぶりに陸前高田だ。以前来た時はたった1つの集合住宅ができたばかりであとは更地だった。今はショッピングセンターができ、他の地域にも町ができつつあった。

高台に造成された住宅地にあった真新しいベンチ。ここに座って遠く海を見つめるのだろうか。家はまだ完成されておらず、このベンチに人が座るまでもう少しかかりそうである。



左が現在の看板、右が震災当時の看板だ。
これだけかさ上げされているということだ。

かさ上げされた町から海の方へ降りていく。奇跡の一本松が孤独に立っていた。


背後には壊れたままの建物がある。

すぐ横を流れる気仙川の看板も当時のままだ。震災から1ヶ月後に被災地に行った。看板やガードレールがわかめのようにねじれていたことを思い出す。それらは水中にあり、水の力が作用したからこうなっている。

海沿いには防潮堤が立っていた。

高い。本当に高い。高さは12mほど。安藤建築の壁のように無機的に。

防潮堤を越えると海がある。海の国と陸の国を隔てる国境のように防潮堤は立っている。


まだ多くのものが建設中だった。海のそばの町なのに海が見えない。海風が木々を揺らすことも少なくなるだろう。環境が変化するだろう。まるで海の全てを拒否するかのようにそれは建っていた。これは陸前高田だけではなく被災地のあちこちで作られている。海とともに数千年生きてきた町なのに、海と町との関係が大いに変わってしまう。もちろん、甚大な被害があったからだが、このあり方が正しかったのだろうか。まるでゼネコンを儲けさせるために作っているように思えた。

住民の人に聞くと、高台移設と防潮堤の建設は勝手に決められていたと。防潮堤ができたとして、どうせ津波は防潮堤を越える。防潮堤がすべてを受け止めるのと破壊されてしまうので一部を逃して津波を越させてを力を逃すようにしたそうだ。しかし、津波が海へ戻る際に壁が邪魔するから、水が溜まってしまう。そのとき、第二波がきたらどうするんだと言っていた。しかも陸前高田は高台移転をしているのだ。

津波の被害を受けていない外野が言っていることは重々承知だ。ただ、これから生まれてくる人々はこの壁を見てどう思うのだろう。建てた人々のことをどう思うのだろう。

(陸前高田 岩手)


2019年7月13日土曜日

隙ある風景 写真集発売

『隙ある風景』の写真集が完成した。自費出版である。

中身はこのようになっている。

文章をつけることで写真の意味が理解される。
写真と文章の組み合わせで一つの作品になるように、
写真と同じぐらい言葉にも気を配った。
コピーライターとして得た全スキルをここに使った。
また、海外でも販売を考えているので英語と中国語をつけている。

見開きにするとこうなる。

こんな長いタイトルもある。

見開きで1つの物語になっているものもある。
写真が154点収録されている。
トータル192ページ 高さ226mm 幅230mm
10年分の写真からより抜いたベストオブベストな隙である。

写真のアートディレクターは正親篤(おおぎあつし)さん。
会社の先輩であったが最近独立した。
その先輩が「会社を辞める前に日下の写真を成仏させたるわ」と
アートディレクターを買って出てくれたのだ。
正親さんは、ポカリスエットや九州新幹線を手がけているすごい先輩なのである。
ありがたいったらありゃしない。

写真のセレクトと画質調整はぼくが行い、
ページのデザインから入稿データまでは正親さんが行った。
写真は、色校正があがってきたところ。

154点すべてを出すとお金がかかってしまうので、16点ほどで判断する。
普通、写真集では使わない特殊な紙であり、
ツヤがなくインクを思ったより吸い込むため、
インクの濃度をどうするかが大きなポイントとなった。

色校正が終わればいよいよ印刷である。
刷り出し立会いに長野県松本市の藤原印刷へと向かった。
大阪にもたくさんあるのにどうして長野でわざわざやるかというと、
スタンダードブックストアの中川さんに
「写真集を出したいんですよ」というと「おもろい印刷屋が長野におるで」と
紹介してもらったのが藤原印刷の藤原兄。
そこから、もうトントン拍子でことが進んでいった。


印刷の工程を知らない人のために、ここは詳しく解説しておきたい。
印刷はCMYKという4つの版を作り印刷する。
市販のインクジェットプリンターでは10色などもあったりするが、
印刷は基本4色である。
これはC(シアン)の版だ。


こちらはM(マゼンタ)の版。

Y(イエロー)の版。


Kの版。Kだけなんでクロやねん、日本語やねんと思っていた数十年。
KはKeyplateの略であった。


この版を印刷機にセットしその間に紙を送っていく。
奥からK C M Yの順に印刷されるのだ。

家庭用インクジェット機とは比べ物にならない。インクがたっぷりと溢れている。


ドイツ製のこの巨大なプリンタのトンネルを通って紙がやってくる。

刷り上がりの色目をチェックする。色の濃度を最後に調整し、明るくしたり、暗くしたりできる。とはいえこの段階ではやるには限界がある。印刷の前にパソコンのデータ上できちんと色を調整しておくのがいちばんだ。

これが刷り上がり。
持っているのは藤原印刷の藤原兄弟。向かって左が兄で右が弟だ。
きっとどちらかが将来の社長になるはずである。
大塚家具のように内紛が起きないことを祈る。


そして、担当してくれたプリンティングディレクターの鈴木さん(右)と
13号印刷機 機長の内山さん。2日に渡った長い印刷立会いだった。
せっかくの松本なのに松本城にも行けずまったく遊べやしなかった。


印刷された紙が製本される。
ページ数は192ページ。なかなかいい厚さだ。

次に表紙のダンボールの工程を説明しよう。
そもそも表紙をダンボールにするというアイデアは正親さんから出てきた。
最高のアイデアである。
ただ、正親さんはダンボールのこだわりが尋常ではなかった。
コンビニのよくあるダンボールではダメ。
野菜や果物など一次産品のダンボールがベター。
しかも、いろんな地方のものがいい。
これはいろんな地域を回らなくてはいけないということか。
ダンボールはかさばるので送料もシャレにならない。
九州新幹線やポカリスエットも、正親さんはきっとこのようにこだわり、
お金と負荷が増えていったのだろう。さすが一流のアートディレクターである。
しかし、今回の負荷とお金の負担はぼくである。これは参った。
当初よりも制作費がかさむ。
しかもダンボールをどこで仕入れたらよいかわからない。
どうして自分の写真集なのに他人に振り回されているのだ・・・
胃が痛い日々が続いていた。
そんな時、たまたま訪れた長野県上田市のバリューブックスの倉庫を訪れた。
ここには古本を売ろうと毎日約1万冊の本が全国から送られてくる。
そして、大量の本がストックされる。
それがすごい光景なのでよかったら見学に来ませんか?と
バリューブックスの飯田くんが誘ってくれたのだ。
現地でぼくは、目を疑った。
大量の本はもちろんすごいのだが、そこにダンボールがあったのだ。
日本全国から送られる毎日1万冊の本はダンボールに入れられてやってくる。
そこにはバラエティ豊かな中古ダンボールが大量にあったのだ。
日本全国からこれほどのダンボールがやってくるところなど
日本でもなかなかあるまい。これは運命の出会いだ。神の恩寵だ。
宝島を見つけた海賊のような気分だだった。
ダンボールの楽園へと導いてくれた飯田くんには感謝しかない。

そして、後日、バリューブックスの倉庫へいってめぼしいダンボールを集めた。
ぼくはなんてダンボールが似合うんだろう。



ぼくと藤原兄で正親さんにダンボールを見せる。
正親さんが「そのダンボールあり、なし」と即座に判断し。
セレクトしたダンボールに正親さんがトリミング指示を書く。

1つの倉庫のダンボールがなくなったので次は別の倉庫へ。
エリンギというおいしいダンボールにテンションがあがる。
一日中ダンボールを仕分けていると、
ダンボールの選球眼が否が応でもよくなった。

ここでも正親さんがトリミング。

これがトリミングした例だ。
そもそものダンボールのデザインに加えて、
ダンボールの持ち手の穴や、付いていたテープがいい味を出す。

丸一日、ダンボールにまみれた後に正親さんと藤原兄と。
激戦地を生き抜いた戦友のような連帯感があった。



ここから先は職人さんの領域だ。
まず、強度の強い紙をのりづけして表紙にくっつける。

その上にカットしたダンボールを貼る。
故に、表紙はダンボールだが丈夫である。品質に問題はない。

このように穴があいたダンボールでも大丈夫だ。
そして背表紙に布テープを貼る。



そして、L版サイズの写真を貼っていく。

これで完成だ。

ダンボールと写真の組み合わせでこうも変わる。

L版を貼り終えた大量の写真集を東京の藤原印刷支社に送ってもらい、
会議室でぼくがひたすらタイトルを書く。



文字を書いてできあがり。



これだけ並ぶと壮観である。
もう手が限界だ。腱鞘炎になりそうだ。


最後にシールを貼って完成。
都築響一さんにあとがきを書いてもらったので
「都築響一おすすめ!」シールをオリジナルで制作した。
「すべて1点もの 現品限り」もオリジナルで制作した。
本当に1点もので現品限りなのである。


それを東京アートブックフェアで出品。
みんな笑っている。ゲラゲラ笑っている。ただ買うかどうかは別である。

初めて買ってくれたのはこの人。デザイナーの中屋さん。
ブロッコリーのしぶい表紙をゲット。
中屋さんは自分でも写真集を出していて、
それを藤原印刷で作っていたというすごい偶然。
ぼくが大好きな『鶴と亀』の写真集のデザイナーでもあった。
通じる人には通じるものである。



ダンボールを恵んでくれた神、飯田くんも上田からきていた。

左はタイの右は中国の女の子がお買い上げ。
隙ある風景は海外へと旅立った。 



翌日は都築響一さん主催の
POORMAN'S ART BOOK FAIRで販売。ここが本番だ。
東京の友達や、



会社の先輩などたくさんの人がきてくれた。
この日のために用意した50冊はすべて完売した。
売れるかどうかとても不安だったので本当によかった。

ぼくは3日間にわたるブックフェアのために浅草のアパホテルに滞在。
その激務から気管支炎と胃腸炎を患い、見事に体調を壊した。

ありがたいことに欲しいという声が多いので
販売のことは以下にまとめる。

個人の場合

お値段 6,578円(税込)+ 送料 370円 = 6,948円 

名前/郵便番号/住所/TEL/数量
上記に加えて、もしあれば、好みの表紙デザインを
kussalam@gmail.com までご連絡ください。
※税抜価格 5,980円 / 消費税10% /送料は1冊分 レターパックライトを使用 

みずほ銀行 築地支店 普通 2254121  クサカケイタ 宛まで
お振込ください。2冊以上であると送料が変わるため、また個別対応します。
5冊以上は送料無料です。

書店さまの場合

条件をお伝えします。
kussalam@gmail.com までご連絡ください。


高いと思う人はいるかもしれない。
ダンボールという安そうな装丁であるが、
手作業がとても多く手間暇がかかっている。
さらに移動交通費などを差っ引くと利益はほとんどないのである。
何卒、ご了承いただきたい。

書店は2020年2月現在、以下にて取り扱い中

大阪 スタンダードブックストア 
大阪 LVDB  BOOKS
大阪 シカク
大阪 toi books
大阪 BOOK OF DAYS
大阪 blackbird books
大阪 ℃ sesshi
東京 SHIBUYA TSUTAYA
東京 タコシェ
東京 本屋B&B
十和田 字と図
盛岡 BOOKNERD
石巻 スイスイ
仙台 曲線
仙台 ボタン 
仙台 せんだいメディアテーク
桐生 ふやふや堂
新潟 BOOKS f3
新潟 北書店
新潟 今時書店
長野 シンカイ
東御 問 tou 
松本 栞日
鹿児島 OWL