2012年5月26日土曜日

頭上のライバル

上、上、上、みんな上を見る。ぼくの展示は見ることもなく。


上にはみの虫!

これは角野晃司さんというアーティスト、
「蓑虫なう」という作品である。
自製の蓑虫の中に一日中ぶら下がったまま
「そろそろ降りたくなってきた」とか、
「おっちゃんに火ぃつけたろかと言われました、さすが大阪」と
iPhoneをいじり、蓑虫の気持ちをつぶやいている。
この方、2年前の六甲アートフェスで大賞を穫ったりとなかなか凄い方。
「今まで自然の中ではやったことあるけど、町では初めてだよ~」と
とても楽しそうにぶら下がっている。

ぼくの写真をみている人たちは、
突然、頭上の蓑虫の中に人がいることに気づき、驚愕。
以降写真のことは忘れたまま、蓑虫と会話したり、
カメラを向けたりと夢中になる。
この蓑虫のせいで、何人かの人がぼくの写真を見逃したことか。
でも、お客さんが楽しそうなんで、どうでもよくなってきた。
ぼくも自分の写真を見てる人に、
「上みて、上」と言って、
蓑虫に気づいたときのリアクションを楽しめるまでに開き直った。

蓑虫に対するいちばん多かった質問が
「トイレどないすんねん?」
おむつしてるんちゃうか、中にトイレあるんちゃうか、
といろいろ憶測が飛んででいたが、本人にきくと、我慢できるのだという。
ただ、どうしても我慢できないときは、
中に持ち運んだペットボトルに用を足すのだという。




商店街のアーケードにつるされた蓑虫の下を、
大阪・玉造の非公式ゆるキャラ、とらとうちゃんが通ったり、
仮装パレードが通ったり、もうカオスぅつう!


18時をすぎてようやく出て来た角野さん。
少しお疲れの模様ですが、中に持ち込んだペットボトルには黄色い液体で満たされておらず、
おしっこは我慢できたようである。


蓑虫は、翌日の朝日新聞で取り上げられ、
さらにたくさんの人が蓑虫目当てにここにやってきた。
ぼくの写真も朝日新聞に載ったぜ!
蓑虫の下にうっすらと。





 


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