2020年1月19日日曜日

HONG KONG BURNING

一度、ブックフェアに行って戻ってくると、
さっきのフィリピン人がいた場所が物々しい雰囲気になっている。

これは本当のデモだった。
デモを見る、これも香港に来た目的の一つだった。
「デモを見れる?」と香港人に尋ねると、
「遠くから見る分には大丈夫よ。自分の身は自分で守ってね」
「催涙弾が飛んでくるから異臭がしたらすぐ逃げて」と言われた。
みんな、安全だから大丈夫とは一言も言わない。



街にデモの跡がいくつかあった。
「CARRIE LAM」はゴミ箱行き
彼女は香港特別行政区のトップである。

香港の自由を唄った落書きは消されている。

黒衣とはデモ参加者のこと。それが暴徒と書かれている。




メインストリートにずらりと並ぶ警官たち。
事前にデモ申請を出していたが行政がそれを認めなかった。
市民側はデモを決行。それを警察が見張っているという状況である。

交差点では怒号が飛び交う。憎悪が応酬されている。
立っているだけで憎しみを浴びて心が痛む。

警察の装備が警察を超えている。




装甲車の上から銃を構えている。
実弾かと思って見ているだけで怖かったがどうやらこれは放水銃らしい。


通路から戦々恐々と見守る人々


怒号が激しくなった。警察が動く準備をした。
危険を感じてきたので逃げる。

すると間違った方向に逃げてしまった。
車の進行方向に。車が動き出してこっちに走ってくる。


みんな逃げている。
警察向かって叫んでいる人に「逃げろ」と必死で別の人が叫ぶ。


車が走りにくいようにと置かれたレンガに傘の小さなバリケード。
これを容赦無く装甲車が踏みつけていった。
この装甲車が通る瞬間でいい写真撮れるだろうなとおもったけど
待っておくにはあまりに怖かった。



大通りから右へそれた。途中、何か燃えてる。


難を逃れた。
さっきの道を離れると、警官たちがたくさんいてマスクを準備している。


ぼくは現場を離れ、アートブックフェアの会場に戻った。
途中、うずくまって「ハアハア」と息を切らしている男がいた。
「大丈夫?」かと尋ねると「催涙弾を撃たれた」と。
お腹に思い切り当てられたらしい。
なるほど、催涙弾を撃つためにマスクを準備したのか。



香港アートブックフェアも燃えていた。
ZINE COOPという書店が「香港の自由」をテーマに
ZINEをみんなから集めていて、それを展示していた。

数十冊の手製のZINEが展示されている。

「両親とデモにいってきたよ」という本だったり(中身はほんとに素朴で切実)

香港とカタルーニャは同じ

写真中心のものであったり、

これは学生が激しく戦った理大の抵抗の写真。
戦場写真のような圧巻な内容。


 さらには世界の社会運動のZINEも並べる。

一冊一冊が本当に切実で泣いてしまった。
お互いに何かあったら大変だからと今のうちにと結婚した学生もいた。
そして、ZINEの力で社会をよりよくしようとするそのアイデアがかっこよかった。


香港の人たちは警察たちをまるで獣がやって来たかのように、
言語の通じない恐ろしいモノとして見ている。
警察は本来ならば守るべき市民を犯罪者のように恫喝していた。
とはいえ警官も中国の田舎町から来た何も知らない若者たちで(想像だけど)、
市民が本当に相対さなくてはいけないのは、
その上にいる政府高官たちだ。
彼らは人前には出てくることも、
市民と面と向かって対立することもなく、やりきれない。

警察は催涙弾は撃てども、まだ力の行使を制御していた。
警察の活動がエスカレートすれば、香港は激動する。
ただただうまく香港がソフトランディングするよう祈るばかりである。

とはいえ、香港は安全だった。
デモがある時はわかりやすいので旅行に支障は全くない。
むしろいつもより人少なくていいかもしれない。
行くという行為だけでも香港の応援になると思うので
コロナウィルスが落ち着けば一度、香港に行ってほしい。

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