2019年1月29日火曜日

新宿の変

歌舞伎町の外れにある写真家、金子山の展示を見に新宿眼科画廊へ行く。残念ながら写真展はもう終わりかけて作品は撤収されつつあった。立ち話をしていると画廊の外を奇妙なおっさんが通りかかった。金子山に「写真撮ってきなよ!」と言われた。確かに、そうだ、追跡をする。





すごい情報量のジャケットだ。さすが新宿である。

山一、拓銀など情報が20年ほど前である。昔作ったジャケットだろうか。しかし2度目の五輪や万博などもあり最近なのかもしれない。


おじさんを追跡する。すると神社の境内に入って写真を撮り始めた。ジーンズもカバンにも文字が書かれている。どうせなら犬にも書いてほしかった。頭にかぶったヘルメットにはイルミネーションがついていた。夜もこのおじさんも気になるところである。

戻ってくるとこれまた変なおじさんがいる。滑舌の悪い声で「おれは詩人なんだ。競馬の詩を書いている」と言って詩集を取り出した。



なかなかいい詩だ。ドストエフスキーのようでもある。金子山の写真を見にきたのに結局変なおじさんを鑑賞する羽目になった新宿の外れである。

(新宿 東京)




食事は大切に

階段の下で立って昼食を採る。しかもケータイを見ながら。音楽を聴きながら。口に入れた食べ物はまったく栄養にならなさそうである。

(新宿 東京)

2019年1月26日土曜日

連打をするおっさん

ケータイの画面を高速でタップしている。


脇目も振らずにタップしている。おそらくポケモンを捕まえているのだと思われる。

(本町 大阪)

主よ、海があまりに碧いのです

長崎、外海(そとめ)のキリシタンの出津教会へ。映画『沈黙』に衝撃を受け、続けて遠藤周作の原作を読んだ。この物語の舞台をぜひ見ておきたかったのだ。


教会の中は質素なつくりになっている。

机の中にはたくさんの本がある。聖書や賛美歌が載った本だった。ここは明治以降、キリスト教が解禁されたのち、ここにやってきたフランス人のド・ロ神父により建てられた。

この地域は当時、非常に貧しかったそうだ。陸の孤島と言われるほどに、周りは山に囲まれ平地はほとんどない。耕作は難しかっただろう。海には面しているが外海という名前の通り、荒々しい外海に面している漁に出るのは難しかったそうだ。

過去の弾圧の歴史と、貧しい人々を救おうという一心からか、ド・ロ神父は施設を建てた。救助院も含め現在の価値で4億円の私財を投げ打って建設したという。本国のカトリック組織の金銭的援助はほとんどなかったという。

隠れキリシタンだった人々は、今はもう堂々と教会を訪れている。
しかし、400年前とかわらず、教会を訪れずにまだこっそりと祈りを続ける人々も少なくはないそうだ。




美しい小道を歩く。
ひっそりとあるマリア像。ここはまるで天国のような庭園だった。

歩くとひっつき虫がたくさんついた。まるで茨の道を歩いたよう。

道を抜けると教会に付随する救助院がある。ここでは織物、醤油、そうめん、マカロニ、パンなどをつくり、貧しい人々が自活できるような施設を作った。教会も救助院もすべてド・ロ神父の私財による。


これが美しい外海の海岸線だ。
映画「沈黙」の磔のシーンを思い出す。



海を眺める高台に石碑がある。「人間がこんなに哀しいのに主よ海があまりに碧いのです」と刻まれている。

石碑の近くにある遠藤周作文学館へ。





閉館間際で時間がなかった。さっと回ったが金言がたくさんある。

遠藤種作の書斎の写真。デスクが汚くても名作が書けるのかと、デスクが汚いぼくはほっとした。

遠藤先生は遺言でこの2冊を棺に入れて欲しいと。ぼくもこの2冊はすでに読んでいた。
「沈黙」は最近読んだが「深い河」は覚えてない。また読み直さなくては。


記念館から出るとまるで神の恩寵のような夕日が見える。遠藤周作記念館自体が神の恩寵のような時間が流れていた。

(外海 長崎)

偶然の配色

バスを待っているおっさんとバスのカラーリングが奇しくも同じであった。

(長崎)

2019年1月13日日曜日

凄惨な清算場所

置く場所がないとはいえカード決済の場所がここだとは。
ぼくのカードも支払うお金も汚れてしまったようである。

(阿倍野 大阪)

2019年1月12日土曜日

ランドリー宴会

きょうは今宮戎の十日えびす。
近くのコインランドリーは打ち上げ会場になっていた。

(恵美須西 大阪)

2019年1月7日月曜日

すれ違い

エサがもらえると思ってハトが近づいていくが
おっさんはただ仕事の電話をしながらメモをとっているだけである。

2019年1月5日土曜日

ぼくにはできない

高価なかばんを地面に置く。



なんばの汚い路上に置く。

(千日前)

2019年1月1日火曜日

隙ある風景 2018 ベストテン

2019年最初の投稿ということで2018年のベスト10を発表したい。
これはアクセス数、クリック数、リツイート数、いいね!数などを
厳密に計算した結果では一切ない。ただ個人的なチョイスである。

第10位 天界の電話

小豆島の大仏の上で撮ったありがたい写真である。
通話先の表記もまたすばらしいので吟味してほしい。

(土庄町 小豆島)



第9位 イマドキの場所取り

場所取りをしながらパソコンで仕事をしていること、さらにはプチプチをロールで持参して下敷きにしている点が評価点。

(京町堀 大阪)

第8位 リゲインを売るサンタ

ドラッグストアの店頭でリゲインを売るおばあさん。クリスマスが近かったとはいえサンタである必要はあったのだろうか。

リゲインを手渡す姿はまるでプッシャーのようであった。

(浜の町 長崎)



第7位 たこ焼かれる

学園祭でたこ焼きの屋台を出していた男子学生が
焼き方がなってないと客に焼いてもらっていた微笑ましい風景である。

(志筑 淡路島)



第6位 入れない男

鍵をガチャガチャとさせていて泥棒かと思ったがただ鍵が壊れていたようである。
(古町 新潟)


第5位 Zバランス

ニューバランスと思いきやよく見ればNではなくZ。
「よく気づいたぞ、おれ」と自分を褒めてやりたいということで5位にランクイン。

(新世界 大阪)

第4位 痛恨のミス

バックすると用水路だった。おそらくJAFでも電話をかけているのだろう。
車止めはなかったとはいえ痛いミスである。

(大野 福井)


第3位 どうしても座りたいおばあちゃん

この小さなテレビ台に座るおばあちゃんの強い気持ちが評価された。

(天王寺 大阪)

第2位 聖ジェームス

新聞回収をしている男の新聞を入れる袋はすべてヨコシマであった。
なんどか見ていたが服はネルシャツでボーダーではなかった。
しかし、この日、はじめてヨコシマの服を着ていたのである。
これはもう本当に感動してしまった。

ちなみに初めて出会ったときはこちら


(肥後橋 大阪)





第1位 コイに恋する男
コイのシャツを着た男がコイにエサをやっていた。

(港 神戸)

というわけで隙ある風景ベストであった。
今年は例年よりさらに日本全国から隙が集まった。
淡路島と長崎は隙が多くありそうで、
これから仕事で行く機会が何度かあるので注目していきたい。


というわけで2019年も隙ある風景をよろしくお願いします。