歌舞伎町の外れにある写真家、金子山の展示を見に新宿眼科画廊へ行く。残念ながら写真展はもう終わりかけて作品は撤収されつつあった。立ち話をしていると画廊の外を奇妙なおっさんが通りかかった。金子山に「写真撮ってきなよ!」と言われた。確かに、そうだ、追跡をする。

すごい情報量のジャケットだ。さすが新宿である。
山一、拓銀など情報が20年ほど前である。昔作ったジャケットだろうか。しかし2度目の五輪や万博などもあり最近なのかもしれない。
おじさんを追跡する。すると神社の境内に入って写真を撮り始めた。ジーンズもカバンにも文字が書かれている。どうせなら犬にも書いてほしかった。頭にかぶったヘルメットにはイルミネーションがついていた。夜もこのおじさんも気になるところである。
戻ってくるとこれまた変なおじさんがいる。滑舌の悪い声で「おれは詩人なんだ。競馬の詩を書いている」と言って詩集を取り出した。
なかなかいい詩だ。ドストエフスキーのようでもある。金子山の写真を見にきたのに結局変なおじさんを鑑賞する羽目になった新宿の外れである。
(新宿 東京)