別別所温泉から上田駅へ。駅前には真田幸村が鎮座する。
真田幸村終焉の地である大阪の天王寺から生誕の地である上田にきたのだと、
この像を見て思う。天王寺の安居神社にある像はもっと老いて疲れていた。
市街地を散策するとエゴが半端ない看板を発見する。
自己主張が少ない土地だと思っていたが意外である。
オレオレ詐欺などしていないかチェックした方がいいかもしれない。
夜は上田商工会議所で講演をする。
講演を終えて司会者が「話が伝わった人」と質問するとみんなが大きく手を挙げた。
ある参加者の方がが「良いセミナーとは、賢くなった気分になれるものではなく、自分はこれをやろうと具体的に動き出せるものだと思います。」と感想をくれた。
上田の人々にきっと強く届いたのだとおもう。
講演を済ませたあとはゲストハウス『犀の角』へチェックイン。
1階がカフェと演劇のステージという斬新なつくり。
翌日は、地元の原田さんのガイドで上田を回る。
まずは岡崎酒造という地元の酒蔵へ。朝から試飲をさせてもらう。
酒が弱いものだから朦朧としてきた。
会長の岡崎時子さんは大阪の阿倍野出身。
大阪が恋しくていまでも冷凍のきつねうどんを買い込んでいるとのこと。
そしてなにより長女が漫画家のおかざき真里さんってことでびっくり。
そしてなにより会社の同期の伯母さんってことでびっくり。
亀齢はこれまたたまらなくよいお酒。
とはいえたくさん作れないからなかなか出回らないのだとか。
ほろ酔いのまま上田映劇へ。
看板が雷門ホールとなっているのは『青天の霹靂』という映画の撮影で作られたセットを
そのまま残しているのだとか。
客足が低迷して2011年に休館した。そのまま取り壊すという話もあったが「娯楽の記憶を消したくない」と廃業間際だったホールを復活させた原さん。
劇場には娯楽の記憶が確かに刻み込まれている。
たくさんのヤニと感動を吸ってきただろう天井
バックヤードには住み込みで働いていた映画技師の部屋がそのまま残されている。
朝から活発に動いたところで上田の名店へ。
入るなり名店の佇まい。失敗する気がしないのだ。
そして出てきたあんかけ焼きそば。
パリッと焼いた細めの平麺にあんかけがかかっていている。
からし酢を好みで追加して食べる。
焼きそばと冷麺を親に持ち、祖父は天津飯といったところだろうか。
こういう肩肘はらない地方の名品が大好きで
会社の近くに支店を出してくれないだろうかと祈るばかりである。
上田市郊外へ移動し、バリューブックスの倉庫を見学。
毎日1万冊の本が全国から来て、1万冊の本を全国に出荷するという。
滞りなくそれを進めるその美しいシステムと規模感にわくわく。
IKEAに初めてきたときの興奮と近い。
買い取れずに廃棄処分になってしまった本たちが収集車に吸い込まれていく。
まとめて静岡の古紙再生工場へ送られる。
本たちの一生がVALUEBOOKSの記事になっていた。
それぞれの本は工場でドロドロに溶かされて、大きな1つの紙の塊になる。
そしてまた紙になる。
それは人間が死ぬと魂が抜けて宇宙へと上り、
無数の魂が集まった1つの大きなエネルギー体に戻り、
またそこから小さな1つの魂が飛び出して、
新たに生まれてくる人間の中に入るというチベットの死者の書の教えを思い出す。
きちんと本を買取って、買い取れない本にまで丁寧に気を配る。
VALUE BOOKSは本に真摯に向かい合っていた。
このあとは温泉に入って上田巡りは終了だ。
上田の名所を駆け足で回り帰路につく。
時間がなかなかなく隙はあまり撮れなかったのでまたの機会としたい。
約1日の短い時間ではあったがガイドの原田さんがいたからこそ
上田の名所やキーマンに会えた。核心に迫ることができた。
上田はすばらしく美しくたくましい。
こんな場所が日本のあちこちにあるのだから日本は豊かだと思うわけである。
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