みかん売りのおばちゃんが寝ている。朝市にやってきた。 (東長島)
バケツ一杯のにぼしが1000円!
とりあえずバケツ半分のにぼしを500円で購入した。(東長島)
休日ながら紀北町役場の久保さんと宮本さんがアテンドしてくれた。
「紀伊長島のディープなところに案内してください」とお願いする。
まずは長島造船所というところに連れてきてもらった。
久保さんも40年近く住んでいるが来たことがないと。
おっさんが漁船をつくっている。ボンドの臭いがぷんぷんする。
きっと長島の悪ガキたちはここにボンドを盗みにきていたに違いない。
町営住宅の方に行く。
おっさんがいきなり「お前ら役場のもんか!」と
今にも殴りかかってきそうな勢いでどなってきた。
「おまえらこの溝見てみい!
おまえらがほったらかしやからこの前の台風のとき
水があふれてえらいことになったんや」
「どないしてくれるんや!おまえら!」
「まあおまえらに言うてもしゃあないか」と
どなり散らすとスッキリしたのか穏やかになった。
隣が思わぬとばっちりを食った久保さんである。
おっさんが住んでいるのはこの町営住宅。家賃はなんと月1万円。
一定期間住めばここを出る決まりになっているが
もう何十年も居座り続けている。
さらに、写真をよく見てもらえばわかるが勝手に建て増しをしている。
その上、排水溝を掃除しろと食ってかかってくる。
パンチあるおっさんである。
まさかこれも家かと思ったが、そうではなかった。
漁の道具を入れる倉庫である。
色塗られ、錆びついたトタンはやはりカッコいい。
近くにはカツオ漁船 に乗るインドネシア人の寮があった。
さらには、50ぐらいのおっさんと20代のフィリピーナの住む一軒家があり、
そこに色の年頃の肌の浅黒い2人の娘が自転車に乗っていたりと
地方は地方なりの国際化が進んでいる。

神社にいくと、お祭りの準備をしているおじいさんがいる。
特別に中にあげてもらった。
「神様のご飯つくらなあかんねや。
今日は宵宮やから今日も明日もつくらなあかん
神様は12人もおるから大変や」
ここの名物「カマス寿し」がとてもうまそうである。
12人×2食の24人分、なかなか大変な量である。
村の女が総出で作っている。
神様がいる奥の社まで案内してもらった。
1人だと中まで辿り着けなかったに違いない。 (島勝浦)

廃校になった小学校を宿泊施設にした場所へと連れて行ってもらう。

校長室が男湯になっている。
風呂に入っている校長の絵が浮かんできた。

保健室は女湯になっている。
校長室が女湯で、保健室が男湯よりも確かにいい。

調理室は調理室のままである。
ここは宿泊者が自分で調理することもできる。
釣った魚とか調理したい。 (島勝浦)
水中の石にある緑色の小さな虫のようなもの見えるだろうか。
これは、海藻の苗。
温暖化で水温が上がっているからか、何か他の理由から、
近年海藻が減っているため、海藻を増やそうと町ぐるみで取り組んでいる。
植林ならぬ、植藻。全国初の試みだとか。 (島勝浦)

漁港では釣り人が寝ている。
早起きして来て眠いのか、釣れずに退屈なのか。
みんなアオリイカ狙いだ。 (島勝浦)

ぼくも少し釣りをした。小さなガシラが2匹ほど。
釣りをしていると目の前を漁船に乗った久保さんの友人が通り過ぎて
久保さんに声をかけてきた。
「おー、おまえ、なにしとんのや?」
「見たらわかるやろ、釣りや 」
「釣りっちゅうのは釣れてこそ、釣りや。釣れんかったらただ立っとるだけや」
といいながら立ち去っていった。船はだいたい一家に一台あるのだとか。
漁村らしいとてもいい光景である。 (東長島)
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帰りは久保さん一家と宮本さんが送ってくれた。
朝買った煮干しを久保さんの娘にあげたが見事に返却された。
変なところばかりで、いちばんの有名スポット熊野古道に行ってないが
充実したトリップだった。
「ぼくたちもなかなか行かないところだったので楽しかったです」
久保さんも喜んでくれた。
やさぐれつつも、海はきれいで、すぐ山に入ると世界遺産。
その割に観光客が少ない。
東京からとかなかなか来ないだろうなあ。
というわけで、なかなか穴場の紀北町。
だからこそぜひ一度行ってみてください。
今回お会いすることができなかったが
震災後に東京から紀北町に移住した漫画家夫婦もいる。
ぼくもまたきっと行くだろうなあ。
紀北町の魚と変人を釣りに。