2021年10月31日日曜日

りんごという子猫

子どもが猫を拾ってきた。
友だちと外で遊んでいると、小さな鳴き声が聞こえるので
声の元を探すと、子猫が2匹ブロック塀に閉じ込められていたそうだ。
親猫はおらず衰弱したまま放っておかれていた。

猫など飼ったことはなかったが、
戻してこいとは強く言えず、とりあえず元気になるまでは引き取ることになった。 生まれたてで目も半開きだ。



共同責任ということで1週間ごとに飼育を交代する。写真左の明るい三毛猫を「りんご」、黒の三毛猫を「すず」と子どもが名付けた。




こちらがりんご


こちらがすず。

夜中ミルクのために起きなくてはならない。わが子が乳児だった以来である。

ミルクの飲む量も増え、起きている時間も増えた。少しずつ元気になっている。


メロンのケースにピッタリフィット。


りんごはいつも血尿が出ていた。
獣医に行くと生まれつきお腹に穴が開いている臍ヘルニアことがわかった。
下手をするとそこから腸などが出てしまう。今もお腹がぽっこりと出ているのである。そのままでは死んでしまう。手術が必要だ。しかし、まだ小さいので手術に耐えられない体である。生後3ヶ月になってからすることになった。しばらく飼うしかないではないか。

もしかしたら親猫から子猫を奪ってしまったかもしれないという罪悪感はそのままであれば死んでしまう猫であったということで軽くなった。



じゃれたりと激しい運動で腸が出てしまうこともあるのでりんごとすずには悪いが2匹を別々で飼うことにする。友達の家は犬も飼っているのでりんごが動き回ってしまうかもしれないと、私たちがりんごを引き取り、友達はすずを引き取った。



ダンボールにいれてもニャーニャーと泣くので出さざるを得ない。




猫をさして可愛いと思ったこともない。猫を見かけたらなんでもかわいいというという人間の気がしれない。SNSの猫の投稿もうざい。しかし、飼っているとかわいくて仕方ない。


わけもなく近寄ってくる。急に足に襲いかかって戯れてくる。テレビを見ていると膝の上ですやすやと寝る。


自宅でリモート会議中によってきたのでついつ登場させてみた。「猫かわいいでしょ」と自慢するのに何の自制心もない。Twitterのタイムラインに流れてくる猫の動画についつい反応してしまう。猫のぬいぐるみや猫型のシルエットでもかわいいと条件反射してしまう。これが猫好きの心境なのか。45歳にして猫の扉が開いた。  



部屋に仕事でこもりがちだった私もりんごがいるということでついついリビングに出てきてしまう。りんごが家族をひとつにしてくれた。

娘が描いた絵を気に入ったりんご

写真集の上でおしっこをしてしまったりんご。袋をしていたのでギリギリセーフ。


お腹の穴からぽっこり何かが出てくるのでガーゼを巻いた。

しかし、ガーゼはすぐに外れてしまうので腹巻に変えた。


絵を本当に気に入っている。


ある日、りんごが嘔吐して何も食べなくなった。ごはんをほとんど食べなくなり、家族で獣医へと行った。すると、お腹だけではなく食道にも生まれつき穴が開いていることがわかった。
その穴から腸が出てきてそれが肺を圧迫し、呼吸困難に陥っているようだ。



小さな体で大きく息をして横たわっている。今すぐ手術が必要となった。成功の確率は50%と言われた。とはいえこのままにしておいても死んでしまう。手術をするしかない。麻酔に耐えうる体かどうかもわからない。でもするしかない。病院に来てから15分ほど経つがすでに悪化している。りんごの体を撫でたが前を向いたままでこちらを見る余裕はまったくない。ぼくたちは一度家に戻った。



30分後電話があった。手術は失敗したと。麻酔を打つと眠るように亡くなってしまった。ただ、それはある程度覚悟していた。りんごは最後かもしれないと思って体を触っていた。


学校を休んで家族で小さな葬儀をした。りんごのきれいな毛を少しもらって家の植木鉢に埋めた。りんごが許してくれるならまたいつか猫を飼いたい。  

 

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