小さくて質素な神社にたくさんの男たちが集まっている。
ここが、男綱(おづな)と女綱(めづな)が合体するお祭り、
お綱まつりの女綱側の会場である。
神主がお祓いをしている。
なかには藁でできた綱がある。
形状からしてこれが男綱かと思ったがこちらが女綱であるとのこと。
その理由はあとでわかる。
神主が火をつけた後に祝詞を奏上する。
地区の代表たちが礼をする。
境内にいた人々は全員が建物の中へ入った。
中では宴会が行われている。
1時間ほどすると全員が出てきて、全員が綱を持ち境内をぐるぐると回り始めた。
女綱は神社を出発した。
綱は長く後続はまだ神社を出ていない。
後ろの方は楽そうだ。
みんな酔っ払っていい顔をしている。
田んぼに到着すると綱を広げた。
みんな泥だらけなのに楽しそうだ。
まるで子どものようである。
泥だらけになっても何度もやる。
行司もはめられて泥に埋められた。
途中、仕事の電話をしている若者もいる。
「あいつ、○○のとこの次男坊やな」とまず、若者がとっ捕まえられて
先に泥だらけにされた。
泥相撲はこの地区の若者の通過儀礼なのかもしれない。
緊張していた若者たちが相撲のあとはのびのびとして打ち解けた。
相撲は終わり、また女綱を担ぐ。
寒風吹きすさぶ中、女綱はゆく。
大和川にかかる橋を渡って
ゴールの素盞嗚(すさのお)神社へ到着した。
神社の向こうではまた泥相撲が行われていた。
江包地区の男綱チームたちである。
相撲会場の横では巨大なタケノコのような男綱が横たわっていた。
男綱に男の子が乗りジャンプして遊んでいる
女の子も乗ろうとすると父親が慌てて止めた。
相撲が終わり、男綱をみんなが担ぐ。
男綱の方が女綱に比べて、太く短く凝縮されており、重量がありそうである。
ゴールはもうすぐ、ラストスパートだ。
声が大きくなる。
男綱が女綱に突っ込む。
ぐいぐいと押し込まれる。
ズッポリと入った。
見事にゴールだ。
合体した男綱と女綱は木に吊るされた。
そして、神主と地区の長は去っていった。
お綱まつりの由緒を最後に。
昔、大洪水があって上流の三輪から2人の神様が流がれ着かれた。江包は素戔嗚尊(すさのおのみこと)、大西は稲田姫(古事記でいう櫛稲田姫のこと)をお助けした。その後、毎年正月に結婚式をあげられることになったという伝えがある。古くからの田遊び祭りで、豊作をあらかじめ祝う儀式である。朝、各地区の神社から、江包は、男性の象徴を示す男綱を、大西は女綱を担ぎ出す。どちらも700キロ程もある大綱で、100メートル程度の尾綱がついている。途中慶事のあった家を祝ったり、田んぼで泥相撲を取ったりしながら綱の行列は昼前にやっと素盞鳴神社までたどりつく。女綱の方が先に素盞鳴神社に到着する。仲人役がまだ泥相撲をとっている男綱を呼び使いにいくが、7度半行き来があってやっと男綱は動き出し、おごそかに入舟の儀式(男綱と女綱の合体)がとりおこなわれる。国の重要無形民俗文化財に指定されている。
大阪の中心から1時間の場所に、きっと千年以上は続いているだろう土着的な祭りがずっと残っている。日本はまだまだ広い。観光客も少なくおすすめである。
(大西 江包, 桜井)
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