おっさんは眩しそうである。
影に移動するのか、寝相を変えた。
しかし、まだ日なたのまま。
寒いから、あえて光の筋で寝ているのか。
ずっと寝ていると影が移動してきたのか。
おっさんの奥にはスカイツリー。
釜ヶ崎からはハルカスが見える。
そう、ドヤ街から富の象徴、高層建造物が見えるという皮肉。
ここ、山谷は「あしたのジョー」のふるさと。
釜ヶ崎は「じゃりんこチエ」のふるさとである。
商店街を抜けると素晴らしい光景が。
酔っぱらいのおっさんたちが遊戯に興じている。パーツを盗まれた自転車群はアート作品のようである。
山谷と隣り合う、吉原へ。
釜ヶ崎と隣り合う、飛田。
東京と大阪のドヤ街の構造はとても似ていた。まとめよう。
山谷:浅草:吉原:スカイツリー=釜ヶ崎:新世界:飛田:ハルカス
比較文化がまとまったところで行く場所がなくなってしまった。
この辺りにくわしい友人にどこに行けばいいかと電話をすると
「小菅に行け」と指令を受ける。
駅に着いた途端に重い空気を感じる。
駅から見えた巨大な建物、拘置所の周囲を散策する。
差し入れの店、「面会」のサインボード、保釈金の看板、
幾重にもはりめぐされた柵、一番外側の柵のまわりには堀がある。
一体、どんなものが売っているのだろうか。
他にもたくさん写真を撮ったのだが、
アップしようとするとそこを歩いていた時に感じた
重い何かに襲われるのでやめておく。
東京に5年間住んでいたが、ここは知らなかった。
ぜひ、静かに訪れてほしい町である。