打ち合わせをしていた時だ「来たかも」という電話があった。そうだ、陣痛が来た。
二人目がうまれるのである。タクシーで病院へと向かう。
うまれる日の空と太陽を撮っておく。
病院に駆けつけるとすぐに分娩室に入るようにとの指示、
それほど切羽詰まっているようである。ここは、子どもも分娩室に入ることができる。
なので、家族全員で入ることになった。
いきむ妻の手を、ぼくと娘が握る。
頭が少し出てきたかと思うと、あっという間に生まれた。へその緒はついたままだ。
へその緒を切る。
ようやく我が子を見る母。
生んだ母親本人よりも他の人の方が先にその子を見るという不思議。
長女は生まれた次女への嫉妬からなのか、
生命の神秘にショックを受けたのか、複雑な表情をしている。
しかし、数分たつと上機嫌。現実を受け止めたのだろうか。
16:12 3170g で生まれる。
これ以上ない大安産。
分娩室に入ってから15分、病院に到着してから41分、陣痛から2時間弱で生誕。
その日は満月だった。
月の引力がお腹から胎児を引き出すのか、満月の日に生まれる子どもは多いそうだ。
実は、妻がちょうど安定期に入った、今年の3月にぼくは母親を亡くした。
骨の芯から冷えたようだった。どこにも書けぬほどに気持ちが整理できなかった。
母親の生まれかわりなのか、そう思いたいが、
そんな親の気持ちを子どもに背負わせるのは重すぎる気もするので、
この子の守護霊が母親ということにしようか。
六道輪廻か、まだ輪廻には時間が足りないか、
とにかく、人は誰かが欠けると、誰かがそれを満たすのだ。
そんな風にして人は続いてきたのだ。
次女の名前は、日下あさ
よろしくおねがい申し上げます。