さわだは高1の時の出席番号がぼくのすぐ後ろだった。
そこから仲がいい。
部活も一緒で、硬式テニス部でダブルスも組んでいた。
趣味も似ていて、共に洋楽からHR&HMに目覚めてCDの貸し合いをしていた。
ぼくとさわだを含め金のないメタルキッズ4人は、
スラッシュ四天王の音源を全部集めようと共同戦線を張った。
各担当は全アルバムはもちろん、シングルからブートレグまでを買い、
貸しあうという約束をした。
さわだの担当はメガデスで、ぼくの担当はアンスラックス、
今日も結婚式に来ていたあぶがスレイヤー、石井がメタリカだった。
アンスラックスは平均より遅めで結婚し、
メガデスはようやく結婚し、
スレイヤーはいまだ結婚の気配ものなく、
メタリカは行方がわからない。
学部は違ったが大学も同じ、頻繁にあうわけでもないが
久しぶりに会っても、ずっと会っていたような、気心の知れた仲であった。
そんなさわだが結婚した。ずっと結婚しないだろうと思っていたので驚いた。
(後で話すと、さわだのお母さんも同じように思っていた)
さわだはトム・クルーズに似ていて男前なのだが、
勝手気ままなのと、女にあんまり興味がないのと
サーフィンにどっぷりとはまっていて、生活の何よりもサーフィンを優先していたので、
結婚はないだろうと思っていた。
新婦は同じ職場、サーフィンという同じ趣味。
だから、さわだが結婚できたのだろう。
参列者はサーファーばかりでとても色が黒い。
参列者の肌の色を平均すると、ライトブラウンぐらいであったろうか。
趣味が読書と聞いた時、「読書が趣味なんて暗いやつだ」と思った自分を思い出した。
今ではぼくも読書が第一の趣味。高校から本を読んでおけばよかったとつくづく思う。
長い付き合いなのと、結婚式が久しぶりなのとで、
要所要所で半泣きになる感慨深い式だった。
おめでとう、さわだ、お幸せに。
サーフィンしすぎて嫁さんに怒られぬように。