2023年12月20日水曜日

雪が育む色

土偶のキャラが薄着でとても寒そうである。三戸から電車を乗り継ぎ、青森へと向かう。


長靴で職場に向かうおじいさん。

やってきたのは青森県立美術館。奈良美智展をどうしても見たかったのだった。幸運にも三戸で仕事があったので、その帰りに寄ることができた。

奈良さんの故郷が青森県弘前市ということもあって展示内容に気合いが入っていると聞いていた。青森県立美術館には「青森犬」という常設の奈良さんの作品もあるし期待が持てる。そして、昨年、奈良さんに北海道でたまたま会って、なんだかとても気になる人だったので、行ってみたかったのだった。世界的なアーティストなのに、権威なんてみじんもなくて、どんな人にもフラットに接していて、その辺にいそうなおじさんだった。つまり、素敵な人だったということだ。

展示はとてもよかった。それぞれ個人でどの絵が好きかは分かれるだろうが、まずは展示点数がとても多い。奈良さんの半生に沿って作品が展示されていたのもよかった。特に、奈良さんがバイトをしていた弘前のロック喫茶「33 1/3 」がそのまま再現されていたのがよかった。な仲間たちとDIYでつくったお店で、そこでたくさん遊んでいい音楽をたくさん聴いたんだろうな。奈良さんのルーツを知ることができた。

奈良さんは、ロック喫茶でバイトして、海外を旅して、ドイツに留学してと、自由をたくさん吸ったからあんな絵が描けるのかなあ。ぼくも大学の時、仲間と遊んで、世界を旅してたくさん自由を吸えた。でも、働きだしてから、あんまり吸えなくなったな。そして、今はたくさん吸っている。新世界のピカスペースだってみんなでDIYでつくった俺たちのスペース。だから、いい作品ができるかもしれない、なんて期待を込めて。



写真は展示を見終えてバスを待つ人たち。奈良さんの展示を見たあとだからか、全てが絵になるような気になる。

美術館のすぐ隣は三内丸山遺跡である。雪の道を歩いて一人で縄文遺跡を歩く。シガーロスを聴きながら一人、雪国気分を盛り上げる。


雪の中にいると、白にもいろんな白があることがわかってくる。

そこに現れたカラフルなおばさん。ガイドさんである。雪の中では静かな色にしてくれよ、そう思った時に、岩手出身のYさんのことを思い出した。仙台から大阪に赴任になって「大阪の女は原色の服を着ているんで無理っす」と言っていたことを。こういう環境で育ったら確かに服の色数は減りそうだ。オフホワイトとホワイトの違いなどを楽しんだりするのだろうか。

(青森)

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