2020年1月19日日曜日

香港アートブックフェアの戦利品

店番を1人でやっていたのでゆっくりとは回ることはできなかったのだが、
人が少ない暇を見つけては、ちょくちょくブースをチェックした。
全部でだいたい80ほど。回りきれるちょうどいい大きさである。

いちばん好きだったのが "RUSSIAN INDEPENDENT SELF PUBLISHED"
というブース。名前の通りロシアの自費出版ものを扱っている。
全品どこでも見たことがなくて、しかもどれもよい。
印刷が上手ではないけど味がある。LOMOみたいな。
たくさん買いたかったが値段もそこそこするので選びに選んで2点購入。
まずは"PRIDE"というOlga Titovaの写真集。

アニマル柄の女性を動物を狙うかのように撮っている。

ライオンとヒョウが同居している。

ファッションではなくモノも撮っている。
ぜひ大阪でも撮ってほしい。


次にこれ。

「CULT」という作品。



ネットオークションで売られているプーチングッズばかりを集めた本だ。
プーチンはカルト教団のドンみたいなもんだということだろう。
プーチンの独裁をユーモアで茶化していて最高だ。
日本でもこんなの作らなきゃね。


『號外』という香港の雑誌の1976-2018年の表紙ばかりを集めたもの。
手のひらに収まるぐらいの小さな豆本。
本の佇まいとぼくが1976年生まれで「これは運命」とばかり買ってしまった。
(少し値が張る本を買うときいつも何か理由をつけて正当化する)。

1976年のもの。
左のアイスを食べているのは広末涼子ではない、ジャッキーチェンである。

覇王別姫だろうか。


時代をさらっと小さく流し読めて気持ちいい。



MONGKOK STYLE(旺角是大佬) - 陳偉江 
その細長い本の形に一目惚れ。


香港の繁華街、旺角を野良犬のように歩き回って
ひたすら撮ったもの。森山大道のようである。
ざらざらしていて、すえた臭いがする。

広州の若い女性写真家、于宝珩。



世界は残酷で美しい。
広州の川内倫子としておく。
(でも、彼女は川内倫子を知らなかった。)

広州の川内倫子はちょっとシャイ。




ZHENG MAHLER "PSYCHEDELICS AND TECHNICS"
タイトルの通りサイケデリックである。

クリアファイルの中は冊子が数冊入っている。

中はこんなことになっている。

ドラッグの体験談や効用などが書かれている。本気である。

こちらは裏面。このイラストに惹かれて購入を決めた。



不思議なイラストである。すべてにミシン目がある。
これは1枚ずつ切り離すとLSDのようになるからだということだ。
もちろん、本物ではない。






続いて唐景色の「顔姐」


表紙がくり抜かれている。


パラパラとめくっていく女性の顔が現れる。
これはすべて同じ女性。著者のメイドだった人。
この写真集は彼女を巡る物語。

筆者はメイド探しの旅に出る。
彼女の生まれた場所、ルーツ、若い頃に住んでいた家などを
写真で追っていく。



途中、その時代の雑誌のサンプルが入る。
手が混んでいる。


そして、感動の再会をする。
ひとつの映画を見たかのような読後感。
こんななかなか流通していない作品に出会えるのが、アートブックフェアの魅力。
まあ、自分の本の売り上げを結構使ってしまうのがキズだけど。

(大館 香港)


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